2011年12月25日日曜日

12月22日の報道について

久々のブログです。
今回は下記の報道に関してヒトコト。

報道そのものは嘘ではないし、主観を交えずに記事にされています。
ですが、インプラントに対して決して好意的な記事ではありません。
まず2006年以降に全国でどれぐらいのインプラントがなされているのか?
相談件数が2086件ということですが、治療件数はどれぐらいか示されていません。仮に1万人の歯科医が年間10例実施しただけでも5年で50万件です。実際はもっと多いでしょう。それに相談件数の内容も明らかにはされていません。医療者側に問題があったのか、患者側に問題があったのか、そもそも問題になるような事象だったのか・・・。
例えば343で痛みや腫れなどの症状・・とありますが、一過性の症状なら生じても異常ではありません。

当たり前の話ですが、医療に100%絶対は有り得ません。我々医療者側は限りなくリスクが0に近づくよう、成功率が100%に近づくように日々努力していますが、残念ながら予期せぬ偶発症などが生じる可能性はあります。

問題は、そういった合併症、偶発症などをきちんと説明せずに治療する医師がいることです。インフォームド・コンセントを得ずに行う医療など・・今はあり得ないはずなんですが。一部の医師の不注意な行為が原因でトラブルになり、そのマイナス面ばかり強調されてインプラント治療自体を否定されるような報道を目にする度に、とても残念に思います。

インプラント治療は術式も安全性も確立され、長期経過のデータも数多くだされており、決して危険な治療法ではありません。再生医療が一般臨床に応用されるまでは、おそらく最も有効な欠損補綴(なくなった歯の代わりを作る)治療の一つであると思います。

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http://www.news24.jp/articles/2011/12/22/07196882.html
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1856967&media_id=88

歯がなくなったところに人工の歯を作る「歯科インプラント治療」について、治療後に痛みや腫れが続くなどの相談が増加しており、国民生活センターが注意を呼びかけている。 
 国民生活センターによると、歯が欠けたり抜けたりした部分に人工の歯を取り付ける歯科インプラント治療の相談が、06年度以降、2086件寄せられ、そのうち343件で痛みや腫れなどの症状が出ているという。中には、5か月たっても炎症が治まらず、抗生物質を服用し続けたり、手術後1年たって歯が動き出し、取り外すことになったりするケースがあったという。 
 歯科インプラント治療で危害を受けた場合、症状や治療が長期間に及ぶおそれがあることから、国民生活センターは、十分な情報収集を行い、医師にリスクなどの説明を求めるよう注意を呼びかけている。